里山の森林と炭焼きについて知ろう!

247694_369103679839122_1963275950_n炭焼きというと、みなさんはどんなイメージを持ちますか?

「え!?炭ってもともとは木でしょ?木を伐採して焼くなんて、自然破壊じゃない?」と思う方もいるかもしれませんね。

ところが、「炭焼き」というのは自然破壊とは全く真逆の働きをしてくれている、素晴らしい文化なんです。

このページでは炭焼きについて「へ〜!」と驚く、炭焼きや里山とひとの歴史などを皆さんとシェアしていきたいと思います。

 

 

「人の生活」と「森林」の関わり

 

261864_499226583493497_1095030920_n半世紀程前までの私たち人間は、自然と上手に共存してやってきました。

その一例として、人間は、生活に必要な「燃料」を自然から頂戴していた歴史があります。

燃料となる薪や炭、畑づくりに必要な落ち葉、農具や生活用品、はたまたキノコや山菜などの食材にいたるまで、人間は里山から恩恵を受けてきました。

里山からの恩恵を受けながら、その価値を十二分に活用し、自然とうまくバランスをとりながら共存してきたんですね。

そして人間は、暮らしに必要なものを森林から頂くと同時に手入れをしっかりしてゆくことで、里山と人間の関係は上手に循環していました。

また里山は、食料や木材等、自然資源の供給の場としてのみならず、多くの生物の生息地、生育環境としても重要な地域とされてきたのです。

 

エネルギー革命と里山の危機

a0001_010159過去を振り返ると1950年には中東やアフリカについで大油田が発見されました。

それによりエネルギーの主役が石油へと、更には第二次世界大戦後(1960年代)、それまで燃料の主役だった石炭から石油や天然ガスへと転換されたという歴史があります。

それによって人の暮らしにどんな影響があったでしょうか?

実は、このタイミングを機に私たち人間の生活が色んな場面で大きく変わったのです。

エネルギーはもちろんそうですが、食料や生活用品などに至るまで、身近ではない世界のどこかで大量生産されたものを手にしたり口にすることが、この時期を境に俄然多くなったのです。

このエネルギー革命が大きなきっかけとなり、生活の中で炭や薪を燃料としなくなったのです。

すると森林と人の暮らしの間には徐々に距離ができ、里山に手が入らなくなったという過去があるのです。

 

里山の木々はどうやって育つの?

森林の種類は大きく分けると2種類あり、「自然林」「人工林」に分けられます。

その「自然林」の中でまた2種類に別れておりそれらは「原生林」「二次林」と呼ばれています。

386507_227742660641892_2016574800_n(1)自然のまま人間の手が入っていない森のことを原生林、

(2)自然災害で破壊されたり人間の手が入って後に成長した森を二次林、

そして

(3)人間の生活を豊かにするために大量の木材が必要になり、「林業」という形で人工的に木々を育て増やしてきた結果できた森のことを人工林と言います。

エコツアーの舞台となるときがわ町の里山はどれにあたるでしょう?

答えは、

60105_361882720561218_927923503_n「もともとあった森林に人間の手が入り、人の暮らしに密接に結びついて循環してきた森林。

人々が手入れすることで私たちの生活に活用されてきた森林」ですので二次林となります。

この里山の森林を保護する為にとても重要なことがあります。

それは「定期的に人間が手を入れて森を育てて行くこと」。

実は、里山はいろんな理由で放っておくと荒れ放題になってしまうんですね。

その例として、こんなことがあげられます。

  • ツル植物に樹木が負けてしまい、木々の成長の妨げになってしまう。
  • 笹や竹が繁茂して、日が差し込まなくなる。森林から竹林に変ぼうする。
  • 里山で萌芽更新(*1)されずに森林が暗くなる。

その結果、里山ではヒョロヒョロな細い木しか育たない暗〜い森林になり、これまで生存していた植物や動物達が住めない不健康な森が増えてしまうのです。

ですから、里山には人の手をかけ続けることが非常に大切なんですね。

左側は手入れのされた里山。右側は手入れのされていない里山のイラストです。

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林野庁のホームページにとても分かりやすい資料があります。ご興味のある方はこちらをどうぞ。

<<絵で見る森林・林業白書 森林が元気になれば・・・>>

*萌芽更新とは、樹木の伐採後、残された根株の休眠芽の生育を期待して森林の再生を図る方法のことです。

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(※画像は里山レスキュー 薪まきハウスさんよりお借りしております。http://makimaki-house.jp/?mode=f5

 

成熟した森林は二酸化炭素を吸収しない?

森林は二酸化炭素を吸収する、森は地球の温暖化を防ぐと一般的なイメージがあります。

確かに植林したての若い木々は成長しながら二酸化炭素を吸収してくれます。

ところが、成熟しきった成長の止まった木々は二酸化炭素の吸収が減少してきます。

ここで、「二酸化炭素の吸収」というポイントで森林を見てみましょう。

里山の森林に、人手をかけ新しい木々を植林し育てる→そして木々の成熟と共に伐採し→また新たな木々を植えて行く。

このローテーションを続けて行けば、木々の伐採は自然破壊どころか、地球温暖化の原因となる、co2の吸収源の役割を果たしてくれるのです。

〜ナラの木〜

太陽を全身に浴びて育つナラの木は30年程度で二酸化炭素(co2)の吸収量がピークに達し、その後は減少すると言われています。

その特質に従い、30年の成長しきったナラの木々を順に伐採し薪や炭などに活用し、さらに元気な若い木々を育てて行くといった動きがあります。

4149209〜クヌギ〜

ドングリの木として知られるクヌギ。

クヌギをはじめとする日本の雑木林の樹種は、伐採しても切り株から新しい芽が生えてきて再生能力が非常に高いことで知られています。

クヌギを使った炭作りには7〜8年ものの木々を伐採して使われます。

伐採した切り株からは、新たな芽がでて人が手をかけてあげれば、そこから7〜8年たつとまた立派なクヌギが茂ります。

※ときがわ町エコツアーでもクヌギの良質な炭を使ったBBQを予定しております。

 

 

 

炭づくりから垣間見える未来への課題。里山の活性化

「炭作り」が森林作りに役に立っていると言われていますが、どういうことなんでしょう?

里山の森林は、放っておけばおく程、荒廃して行きます。

逆に、森林の伐採を繰り返し手入れを怠らなければ、より一層森林が若返り、イキイキと育って行くのです。

931323_465668053516017_1941392650_n伐採した木々を「木炭」をはじめとし様々な用途で利用することは「元気な森を保つための大事な方法」なのです。

例をあげると、燃料として、キノコ生産用の原木として、紙や木工品、農具、食器や日常雑貨の原料、或は大きなものでは家などの建造物を造るなど、木の活用法は様々です。

育った木々を伐採し人の暮らしに活用し(里山の恩恵を受け)、そして新しい木々を育て、元気な里山を維持して行く。

このローテーションが非常に大切なんですね。

ときがわ町のエコツアーでも「炭づくり」を体験することが出来ますが、この炭づくりも広い目でみれば、循環型社会作りや長い目でみたエコロジーにもつながって行くのです。

人の暮らしは里山から切り離された状態で完全に成り立ってしまう、現代。

ここ半世紀程度で人と自然資源の循環が激減しています。

そんな今の時代の暮らしの中でも、視点を変えたら里山を利用できるのではないだろうか?

そうすれば、人の暮らしも里山も同時に豊かになる方法があるのではないか?

このエコツアーでときがわ町の木々と触れ合うことで、里山の役割と人の暮らしの関わりを見つめ直すきっかけとなればとても嬉しいです。

 

里山の森林と炭焼きについて知ろう!」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 里山の林業家さん | 未来住まい方会議 by YADOKARI | ミニマルライフ/多拠点居住/スモールハウス/モバイルハウスから「これからの豊かさ」を考え実践する為のメディア。

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